「カーボンニュートラル(脱炭素)」の時代に、カワサキモータースが何を考えているのか
水上バイク(ジェットスキー)も電動化するのか? 写真はアメリカで発表された、2022年モデルのULTRA 310 LX-S(ガソリンエンジン)。
本日(10月6日)、今月1日に川崎重工グループの新会社として発足した「カワサキモータース株式会社」の事業方針説明会が開催された。主な内容は、「川崎重工グループならびに、パートナー企業の複合技術を活用し、カーボンニュートラルの実現を目指す」とし、話題の「カーボンニュートラル」に対するカワサキモータース(以下、カワサキ)の見解や展開などが、社長の伊藤浩氏より説明された。
カワサキモータース株式会社・代表取締役社長執行役員 伊藤 浩氏。(写真はカワサキモータース提供)
驚くべきことにカワサキでは、「2035年までに先進国で販売する二輪車のほとんどを“電動化”する」という。コロナ渦の前までなら、「バイクの脱炭素など、まだ先の話……」という風潮が社会的にあったが、今は「人類共通の課題」として、「カーボンニュートラル社会の実現」がしっかりと見えてきている。カワサキとして、「世の中のニーズに、積極的にチャレンジする意思を明確に示す」ということであった。
電動化の方法として、「水素」「EV」「ハイブリット」を模索
カワサキのEV Project。
カーボンニュートラルの実現に向けて、「モーターサイクルでは、2025年までに10機種以上のバッテリーEV、ハイブリッドEVを導入する」と言い、「2035年までには、先進国の販売のほとんどの二輪車を電動化する」と表明している。電動化の具体的な方法として、「水素」「EV」「ハイブリット」を考えており、それぞれを研究開発していく。しかし、大型バイクに関しては、「ハイブリット」が現実的だと言う。EV化での最もネックとなるのが、「バッテリー搭載による重量アップ」だそうだ。
水素を燃料としたエンジン開発に取り組む
「バッテリーEVのみならず、高効率エンジンとモーターの複合技術に、水素から造るeフューエルやバイオ燃料を組み合わせることで、カーボンニュートラルを図っていく」と伊藤氏は語り、「カーボンニュートラル」に向けて、水素を燃料としたエンジンの開発にも取り組んでいく方針を明らかにした。
水上バイク(ジェットスキー)の電動化はいつになるのか?
我々の水上バイクの業界としては、「ジェットスキー」の「電動化」が気になるところである。質疑応答で伊藤氏に「ジェットスキーの電動化はいつごろになりますか?」と聞いたところ、「現在、ジェットスキーの電動化の予定は未定だが、“水素”を使う方法になるのではないかと考えている。しかし、バイクの方が先で、PWCに関しては具体的な決定はない」という回答であった。
川崎重工業から独立したことで、会社の意思決定がスピーディになった
カワサキモータースは、10月1日付けで親会社の川崎重工業から分化し、バイクやオフロード車、汎用エンジンを手掛けるモーターサイクル&エンジン事業が独立した。このことについても、「分社によって、大きな経営の自由度を頂いた」「スピード感のある経営判断と、意思決定が可能となった」と、伊藤氏は述べる。会社の機動力が高まったことで、新しい展開となることを感じさせてくれるものであった。
ワールドジェットスポーツマガジン編集部