ランドローバー・ディフェンダー90 S(4WD/8AT)【試乗記】 デコボコ道が呼んでいる

ホイールベースが40cmも短いとリアシートは実用に足るのかと不安になるが、これには少々説明が要る。まずドアの大きさがずいぶんと違うのだ。別の機会に実測したが、3ドアは長さ1330mm、5ドアのフロントドアは1130mmと20cmも短い。これだけ違うと、後席への出入りのためにドアを全開にするスペースを見つけるのに苦労する。

ランドローバー・ディフェンダー90 S(4WD/8AT)【試乗記】 デコボコ道が呼んでいる

いったん乗り込んでしまえばリアシートの膝まわりと足元にはまずまずの広さがあって窮屈な感じはしないが、その代わりに、ちょうどリアシートの下に駆動系を抱える位置関係になるせいでフロアが高い。リアシート座面との高低差が十分ではないので、まるでミニバンの3列目シートのように膝を抱えるような姿勢、いわゆる体育座りを強いられるのだ。おかげでリアシートにはちょこんとお尻だけで浅く腰かけるような姿勢になり、長時間はすすめられない。

もちろん、短いボディーゆえに車両重量は2リッターガソリンターボ「P300」のエアサスペンション仕様同士で90は2100kg(試乗車の車検証記載値は2200kg)、110は2240kgとだいぶ異なり、公称パフォーマンスも110の0-100km/h加速7.4秒に対して7.1秒と速い(最高速は191km/hで同一)。車重2tを優に超える大型SUVにして7秒ちょっとの加速タイムは間違いなく俊足といえる。

さらに実用面で大きな影響を及ぼす最小回転半径は5.3m(110は6.1m)と大違い。実際に110よりずいぶんと扱いやすく感じたが、全幅は同じなので要注意である。またラゲッジスペースも90は標準時297リッター~最大1263リッター、110は同じく786~1875リッターと大差がついているが、これは30cmほど短い荷室の奥行きの違いによるものだ。

インテリアカラーは試乗車の「エボニー」のほか「ベージュ」と「カーキ」も追加コストなしで選べる。
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シートは合皮とファブリックのコンビ表皮が標準で、リクライニングとランバーサポートのみ電動調整が可能。試乗車はウオークスルー仕様だったが、本来はセンターコンソール仕様が標準だ(無償で変更可能)。
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リアシートは座面と床面との高低差が小さいのがちょっとネック。リアアクスルのすぐ上に座ることになるため、シートの左右にホイールハウスのせり出しがある。
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荷室の容量は297リッター(写真)~1263リッター。床面、後席背もたれの裏面ともハードなプラスチックでカバーされている。
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トランスミッションは8段のトルコン式AT。ダイヤルの周囲にローレンジへの切り替えスイッチやドライブモードセレクター「テレインレスポンス2」の操作スイッチが並んでいる。
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