【伸展する関西の建設ICT⑩】ビル遠隔監視にオープンシステム アイテック阪急阪神 | 建設通信新聞Digital

川西氏(左)と水田氏

 不動産業界の慢性的な管理係員不足を背景に、ビル管理に遠隔監視システムを導入する動きが高まる中で「オープンシステムが当社の強み」と強調するのは、阪急阪神ホールディングスグループでビル管理業務システムの開発を担うアイテック阪急阪神(大阪市)の水田哲哉ファシリティ事業本部第1営業部長だ。

 ビルの各設備を監視する中央監視システムは特定の機器メーカー製品や通信規格を用いるクローズシステムが一般的だが、同社はユーザー系IT企業としての知見を生かし、メーカーに縛られず最適な機器を選定できるオープンシステム化や、クラウド化にチャレンジし、ビルオーナーが負担するライフサイクルコスト(LCC)の軽減提案に力を入れている。

◆グループ外への販売も本格化 オープンシステム化の思想は中央監視システムにとどまらず、複数ビルを一括して遠隔監視する群管理システムにも生かされており、複数ビルに様々なメーカーの中央監視システムが導入されていても、1つの拠点から集約監視できる仕組みを実現している。

 この取り組みには阪急阪神ホールディングスグループの所有ビルで設備監視を統合化するため、IT分野を担う同社がシステム開発を進めてきた経緯があり、現在はグループ外への営業活動も行っている。第1営業部の川西秀一主事は「オーナー主導で最適なビル管理を実現できるオープンな遠隔監視システムを構築し、ビルテナントに対しても付加価値を提供できるシステムとして確立した」と説明する。

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 通信規格には国際標準のBACnet通信を採用したことで、機器メーカーを限定せず最適なネットワークの構築が可能になった。小規模ビルには警報通報装置を設置し、既に中央監視システムを導入しているビルでは既存システムと接続するなど、管理物件に合わせて最適な機器・構成を採用し、群管理の枠組みを構築する。

UX小倉とUX御池の導入例

 同社が群管理システムのグループ外への販売に乗り出したのは2017年のことだ。東京都内の不動産会社に初導入されたのを機に、関西地区では19年に大阪ガス都市開発が所有するUX小倉ビル(京都府宇治市)で採用を決めた。同ビルは主にビル管理員によるローカル管理であったが、管理効率化を目的に小規模中央監視を導入し、21年2月にはシステムの拡張も図った。

 導入のきっかけとなったのは、大阪ガス都市開発で技術本部第一技術部エンジニアリンググループに所属する花木章友係長が市場調査の一環で訪れた展示会だった。関西を中心に30件を超えるオフィスを所有する大阪ガス都市開発ではLCCを重視し、ビル管理業務の最適化を進めており、その担当者である花木氏は「展示ブースの中で唯一オープンシステムを提供していたアイテック阪急阪神の仕組みに興味を持った」と振り返る。

 UX小倉ビルのシステム拡張では、IoTセンサーによる設備データ収集、監視カメラ、メーター検針値収集、扉電気錠制御を導入し、クラウド内の群管理サーバーを介して遠隔監視ができる枠組みとした。さらに大阪ガス都市開発が京都市内に所有するUX御池ビルについてもオープンシステム化の一歩として既存メーカーシステムとの接続を行った。花木氏は「日々のビル管理情報を設備台帳と連携させ、中長期の維持管理計画にも反映できる群管理の枠組みに発展していきたい」と考えている。

ノートパソコンで事務所からビルの中央監視を遠隔操作できる

 アイテック阪急阪神にとって、大阪ガス都市開発に導入された「インパクトは大きい」と、グループ外への販売を本格的にスタートした。ビル管理者が不足し、遠隔監視の需要が高まるのは既存オフィス市場だけではない。敷地内で複数棟を管理する大学や病院、さらにはグループと同じ鉄道系企業のビル管理も重点ターゲットの1つだ。「オープンシステムという他社にない独自性で積極的に開拓していく」と川西氏は前を向く。不動産分野で拡大するDX化の動きも追い風だ。水田氏は「ビル管理に関わるさまざまな情報をプラットフォームに集約する群管理システムとしての発展形についても開発を進めている」と、しっかりと先を見据えている。

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