北京五輪「公式アプリ」内の「検索NGワード」一覧から見えた“中国の残念さ”

危険と見られる五輪公式アプリ

Photo by gettyimages

北京五輪「公式アプリ」内の「検索NGワード」一覧から見えた“中国の残念さ”

 北京冬季五輪が盛り上がってきている。ある意味で競技以上の注目を集めているのが外交や人権などの政治問題、そして「デジタル監視」だ。国中に大量設置された監視カメラやインターネットの検閲など、「デジタル監視大国」として知られる中国だけに、北京を訪問する選手団や報道陣も監視対象となるのではないか、重要な情報が奪われるのではないかとの懸念が浮上している。【写真】「ヤバすぎる…」と話題の五輪公式アプリ「MY2022」 共同通信によると、米国、英国、カナダ、スイス、スウェーデン、ドイツ、オランダの7カ国は、自国選手に私用スマートフォンを持ち込まないよう呼びかけている。日本政府も警戒する姿勢を示している。松野博一官房長官は2日の記者会見で、北京冬季五輪用アプリは私用スマートフォンとは別の端末を用意することが望ましいこと、帰国後は速やかに削除するよう、選手に伝達することを要請したという。 警戒感を高める契機となったのが五輪選手や記者団用に提供されているアプリ「MY2022」(冬奥通)の問題だ。このアプリは五輪のニュースや日程、天気予報、ネットショップ、チャットメッセージなどの機能をまとめたものだが、専門家の分析によって欠陥があることが明らかとなった。 カナダ・トロント大学の研究機関シティズン・ラボは1月18日、このアプリを分析した結果、脆弱性が発見されたほか、検閲ワード・リストが搭載されていたと発表している。アプリの登録にはパスポート番号や海外渡航履歴、ワクチン接種の有無、PCR検査の結果、中国に渡航する14日前からの体温測定記録が必要になる。こうした情報が盗まれる可能性があるのではと、不安が広がったわけだ。

デジタル監視国家の「残念な実情」

Photo by iStock

 というわけで、 「中国恐るべし、五輪選手からも情報を盗もうとするなんて……」 「平和の祭典でも言論検閲とはなんたること」 と、怒っている人が多数だが、まずは中国が何をしようとしていたのか、何をやらかしたのかを冷静に見てみたい。というのも、五輪アプリ「MY2022」の裏側に透けて見えるのは、「デジタル監視大国」のなんともトホホな実情だからだ。 前述のとおり、MY2022には検閲ワード・リストが搭載されている。登録されている単語はなんと2442件にものぼる。中国共産党の支配を脅かす言論は根こそぎ禁止されているのであろう……と思ってリストを眺めて見ると、意外や意外、なんとかなりの数がエロ関連で占められている。 シティズン・ラボが解析したリストはこちらのURLから見ることができる。以下、可能な範囲でぼかしつつ紹介していきたい。

次ページは:多数を占めているポルノ関連の言葉

1/4ページ

最終更新:現代ビジネス